アカウント作成からプロンプト設計、ファイル分析、Custom Instructions・Projectsまで。ChatGPTを仕事で使いこなすための手順と型を一気に整理する。
ChatGPTはOpenAIが提供する対話型AIで、文章作成、要約、翻訳、分析、コード生成まで幅広くこなす。2022年末の公開以降、実務で最も使われる生成AIになった。ただし「触ったことはある」人は多いのに、「仕事の成果物を任せられる」人はまだ少ない。差はツールではなく、使い方にある。
このコースでは、ChatGPTを業務ツールとして定着させるまでの7ステップを扱う。アカウント設定から始め、出力品質を左右するプロンプトの4要素(役割・文脈・タスク・形式)、議事録・メール・Excel分析・PDF要約という定番業務、そしてCustom InstructionsとProjectsによる自分専用チューニングまで。ChatGPTの真価は、毎回ゼロからプロンプトを書かない仕組みを作ったときに出る。
一方で、ChatGPTには守るべき前提がある。無料版・個人版に入力した内容はモデル学習に使われる可能性があり、顧客情報・契約金額・未公開の財務データなどは絶対に入れてはいけない。出力にはハルシネーション(もっともらしい嘘)が混じる。AIの出力は草案であって、最終成果物ではない。最後の一文を人間が確認する運用を崩さない。
プロンプト設計の型を深く学びたい場合はAIプロンプトの作り方を、生成AIの全体像から押さえたい場合は生成AIとは?ビジネス活用の完全ガイドを先に読むと理解が加速する。
chatgpt.comにアクセスし、メールアドレスでアカウントを作る。Google・Microsoft・Appleアカウントでもログインできる。 登録後、最初にやるべきは「Custom Instructions(カスタム指示)」の設定だ。自分の仕事内容・役職・普段の文体を1回書いておけば、以降のチャットで毎回説明しなくて済む。 Plus以上のプランではモデル選択が可能になるが、初期段階ではデフォルトのまま問題ない。
使う場面:ChatGPTの「Customize ChatGPT」画面に一度貼り付けておく、仕事内容と文体の指示文を作るとき。
あなたはChatGPTのCustom Instructionsを整える専門家です。 以下の情報をもとに、ChatGPTのCustom Instructions画面の2つの欄(「What would you like ChatGPT to know about you」と「How would you like ChatGPT to respond」)に貼り付ける文章をそれぞれ作成してください。 出力形式: - 欄1:ユーザーの背景情報(業種、役職、主な業務、扱う言語、専門領域)を300字以内で - 欄2:応答の仕方の指示(敬体/常体、語調、構造化の好み、避けてほしい表現、英語混じりの扱い)を300字以内で - それぞれコードブロックでコピペ可能な形で出力 条件: - 毎回のチャットで自動適用されるため、過度に具体的な案件情報は入れない - 機密情報は記載しない - 日本語で応答させたい場合はその旨を欄2に明記する --- 業種:【例:BtoB SaaS】 役職:【例:プロダクトマネージャー】 主な業務:【例:要件整理、ロードマップ作成、顧客ヒアリング、社内プレゼン】 好みの文体:【例:簡潔・結論先出し、です・ます調、箇条書き多め】 苦手な表現:【例:横文字の多用、抽象的な言い回し】 (記入例) 業種:人材紹介業、法人営業 役職:シニアコンサルタント 主な業務:求人票の作成、候補者へのメール、提案書の作成、クライアントヒアリングの議事録 好みの文体:丁寧だが簡潔、結論先出し、敬体 苦手な表現:「革新的」「最先端」などの抽象語
ChatGPTの出力品質は、指示文の構造でほぼ決まる。 鉄則は「役割・文脈・タスク・形式」の4要素を揃えること。 役割(あなたは〜です)、文脈(背景情報)、タスク(具体的な動詞)、形式(箇条書き/表/字数指定)——どれか一つでも欠けると出力がブレる。 最初のうちは、この型を意識してプロンプトを書き起こすだけで別物のように変わる。
使う場面:どんな業務タスクでも、指示文をゼロから考えずに4要素の型に当てはめて書きたいとき。
あなたはビジネスパーソン向けのプロンプト設計の専門家です。 以下の業務タスクについて、「役割・文脈・タスク・形式」の4要素を揃えた完成プロンプトを作成してください。 出力形式: - 完成プロンプト本文(コピペで使える形、300〜500字) - 4要素それぞれの解説(なぜこの役割/文脈/タスク/形式にしたか、1文ずつ) - 自分で書き換えるべき箇所を【...】で示す - 期待される出力のミニサンプル(3〜5行) 条件: - 曖昧な指示(「いい感じに」「うまくまとめて」)は一切使わない - 役割は業務に即したもの(「一流のライター」のような誇張は避ける) - 形式は必ず具体的に(字数、箇条書き数、表の列名など) --- 業務タスク:【例:新商品の社内向け発表資料の構成案を作る】 成果物のゴール:【例:10スライド分のアウトライン、各スライドに見出しと要点3つ】 想定読者:【例:営業部・マーケ部の部長クラス】 トーン:【例:論理的・簡潔・結論先出し】 (記入例) 業務タスク:採用面接のフィードバックメールを候補者向けに書く 成果物のゴール:A4半分、件名+本文、お祈りメールではなく次回選考案内 想定読者:エンジニア職応募者 トーン:誠実・温度感のある敬体
実務で最初に成果を出しやすいのが議事録の整理だ。 録音から文字起こししたテキスト、自分で書き残したメモ、TeamsやZoomの自動文字起こし——いずれもそのままでは読めない。 ChatGPTに「決定事項・ネクストアクション・論点」の3軸で再構成させるだけで、共有可能な議事録が数分で仕上がる。
使う場面:会議のメモや文字起こしを、共有できる議事録に整えたいとき。
あなたは経営会議の書記を10年担当してきたプロフェッショナルです。 以下の会議メモをもとに、社内共有用の議事録を作成してください。 出力形式: 1. 会議の概要(日時・参加者・目的を3行以内) 2. 決定事項(箇条書き、最大5つ、各1行) 3. 論点と結論(テーマごとに小見出し+3〜5行の要約) 4. ネクストアクション(表形式:内容/担当者/期限) 5. 未決事項・持ち越し論点(箇条書き) 条件: - 発言者の推測はしない。誰が言ったか不明な内容は「(発言者不明)」と明記 - メモにない内容を補完しない - 敬体(です・ます)で統一 - 200〜400字の「要旨」を冒頭に添える --- 会議の種類:【例:週次営業定例/経営会議/プロジェクト進捗会議】 参加者:【役職・氏名を列挙、議事録公開範囲を決める材料】 会議メモの本文:【ここに生のメモ・文字起こしを貼り付け】 (記入例) 会議の種類:プロダクト開発の週次進捗会議 参加者:CTO田中、PM山本、エンジニア鈴木・佐藤、デザイナー高橋 会議メモ:ダッシュボード機能のリリースが遅延、原因は認証周りのテスト不足、来週火曜までにQAチームと再テスト、etc.
日本語ビジネスメールは、敬語・クッション言葉・背景説明のバランスが難しい。 自分の下書きや箇条書きの要点をChatGPTに投げ、相手の立場と温度感を指定すれば、数秒で自然な日本語に整う。 重要なのは「相手・目的・温度感」を最初に明示すること。それがないと、当たり障りのない定型文が返ってくる。
使う場面:箇条書きや下書きから、相手に応じた丁寧なメールを仕上げたいとき。
あなたは法人営業のベテランで、敬語と日本語ビジネスメールの達人です。 以下の要点をもとに、相手に送れる完成形のメール本文を作成してください。 出力形式: - 件名(30字以内) - 宛名 - 本文(300〜500字、結論先出し) - 締めの挨拶 - 署名プレースホルダー 条件: - 相手の役職・関係性に応じた敬語レベルに揃える - 二重敬語(「お伺いさせていただきます」など)は避ける - 背景説明は必要最小限に、本題を先に出す - 「お世話になっております」以外の自然な書き出しも選択肢に含める --- 相手:【例:既存取引先の部長/初回接触の担当者/社内上司】 目的:【例:日程調整の依頼/提案内容の確認/お詫び/御礼】 温度感:【例:フォーマル/ややカジュアル/緊急性高め】 要点・背景:【箇条書きで3〜5つ】 (記入例) 相手:過去2回商談した見込み顧客の情シス部長 目的:提案書の内容を踏まえた次回打ち合わせの打診 温度感:ややカジュアル、距離を詰めすぎない 要点:先日の打ち合わせへの御礼、追加資料を添付、来週前半で30分の時間を打診、懸念点があれば事前共有を依頼
ChatGPTはファイルをアップロードして解析できる(無料版でも添付機能あり、PlusではAdvanced Data Analysisが使える)。 売上データ、顧客リスト、アンケート結果——1,000行のCSVでも、傾向抽出やピボット的な集計を数秒で返す。 ただし機密性の高い個人情報・契約金額はアップロードしない。要件として明示的に指示すること。
使う場面:売上データやアンケート結果のファイルから、傾向と示唆を引き出したいとき。
あなたは事業分析を専門とするデータアナリストです。 添付したファイルを分析し、ビジネス意思決定に使える示唆を抽出してください。 出力形式: 1. データの概要(行数・列数・期間・主な指標) 2. 数値サマリー(合計、平均、最大・最小、分布の特徴) 3. 気になるトレンド・異常値(上位3つ、それぞれ具体的な数値つき) 4. セグメント別の比較(指定列で分ける、最大3つのセグメント) 5. 次に検証すべき仮説(3つ、それぞれ1文) 6. このデータからは答えられない問い(2〜3つ) 条件: - 数値は必ずデータから計算する。推測や外部情報での補完はしない - 不明瞭な列名があれば列挙して確認を促す - 機密度の高い可能性があるカラム(氏名・契約金額など)を検知した場合は警告する --- 分析の目的:【例:前四半期の売上の落ち込み原因の仮説を立てる】 注目したいセグメント:【例:製品カテゴリ別/地域別/顧客セグメント別】 既知の背景情報:【例:6月に値上げを実施、7月に新商品投入、競合が8月に参入】 (記入例) 分析の目的:解約率が上昇しているセグメントを特定する 注目したいセグメント:契約プラン別、利用開始からの経過月数別 既知の背景情報:昨年9月に料金プラン改定、自動更新をオンがデフォルトに変更
契約書、仕様書、調査レポート、論文——100ページ超のPDFも添付できる。 全文を読まずに「30行要約+重要な論点5つ+読み込むべきページ」を出させれば、判断に必要な情報が数分で手に入る。 ただし契約書の最終解釈や専門領域の判断はAIに委ねない。AIは案内役、判断は人間の仕事だ。
使う場面:契約書、調査レポート、議事資料などの長文PDFから、読むべき箇所を先に特定したいとき。
あなたはシニアアナリストで、経営層向けに長文資料の要点を整理する専門家です。 添付したPDFを読み、忙しい意思決定者向けの要約を作成してください。 出力形式: 1. エグゼクティブサマリー(30行以内、この文書の結論と重要論点) 2. 章・セクション別の要約(各2〜3行) 3. 重要な論点トップ5(それぞれ該当ページ番号つき) 4. 意思決定に必要な未回答の問い(3つ以上) 5. 精読すべきページ(優先順位つき、最大5ページ) 条件: - 原文にない内容を追加しない。憶測は「(推測)」と明記する - 専門用語は元の表記を残し、必要なら括弧で補足 - 契約書の場合はリスク条項(解除条件・違約金・責任範囲)を重点的に抽出 --- 資料の種類:【例:業務委託契約書/市場調査レポート/新サービス仕様書】 読み手:【例:法務部長/経営会議メンバー/開発チーム】 特に気になる論点:【例:損害賠償の上限、データ利用範囲、解約条件】 (記入例) 資料の種類:SaaSベンダーとの業務委託契約書ドラフト 読み手:情シス部長、法務 特に気になる論点:データの所有権、セキュリティ基準、解約時のデータ返還、違約金条項
同じ顧客・案件について繰り返しChatGPTを使うなら、Projects機能(Plus以上)を使う。 案件ごとにフォルダを作り、関連ファイルと共通指示をまとめておけば、毎回背景説明を書き直す必要がない。 「この顧客の業種は〇〇、過去の商談メモはここ、自社の提案方針はこうだ」を一度書いておけば、以降は案件に閉じた会話が続けられる。
使う場面:顧客別・案件別のProjectsにまとめて入れておく、共通コンテキスト指示を作りたいとき。
あなたはChatGPT Projectsを使いこなすビジネスユーザー向けのアドバイザーです。 以下の案件情報をもとに、ChatGPT Projectsの「Instructions」欄に貼り付ける共通指示文を作成してください。 出力形式: - 共通指示文本文(500〜800字、コードブロックでコピペ可能に) - この案件Projectに入れるべき参考ファイルのリスト(最大5つ、ファイル名+用途) - 最初にこのProjectで走らせるべき3つのプロンプト例 条件: - 機密情報(金額・個人名・未公開情報)はプレースホルダーに置き換え、実入力時に差し替える前提で書く - 指示文にはこの案件の背景、ゴール、禁止事項、好ましいトーンを含める - プロジェクトは長期的に使う前提——方針が変わったら更新する箇所を明記 --- 案件の種類:【例:既存顧客へのアップセル提案/新規顧客開拓/プロダクト開発/採用パイプライン】 関係者:【例:自分、上司、先方担当者、先方決裁者】 案件の現状と目標:【現状2〜3行、目標1〜2行】 やってはいけないこと:【例:特定ワードの使用禁止、競合比較を伏せる、価格は口頭でのみ伝える等】 (記入例) 案件の種類:大手製造業への新規プロダクト導入提案 関係者:自社営業2名、先方情シス部門の部長・課長、事業部の検討担当者 案件の現状と目標:2回の打ち合わせ済み、現在は稟議書作成段階、3月末のPoC開始が目標 やってはいけないこと:他社事例の社名を出さない、価格帯は文書に残さない
ChatGPTは4つの主要プランがある。無料版は制限付きモデルと基本機能のみ、Plus(月額20米ドル前後)は最新モデル・画像生成・Advanced Data Analysis・Projects・GPTs作成が使える。Teamは2名以上の組織向けで、管理機能と入力データの学習非利用が保証される。Enterpriseは大企業向けの高度なセキュリティ・SSO・監査ログを備える。
法人として本格導入する場合、無料版・Plus(個人版)は学習に利用される可能性があるため、機密データを扱うならTeam以上が必須だ。料金は米ドル建てで、為替変動で月額が変わる点にも注意する。迷ったら、まずPlusを個人で1ヶ月試し、チーム展開の判断はその後でいい。
無料版・Plus(個人版)に入力した内容は、OpenAIのモデル改善に使われる可能性がある(設定でオプトアウト可能だが、デフォルトは学習利用オン)。顧客名、契約金額、社員の人事情報、未公開の財務データ、設計図面——これらは入れない。共有可能な範囲で仮名化・匿名化するか、法人プランで運用する。
生成された文章・画像の著作権は、2026年時点でも国ごとに判断が分かれる。商用で使う場合は「AI出力をそのまま提出せず、人間が実質的に加工・編集したもの」として扱うのが安全側の運用だ。既存の著作物に類似していないか、念のため検索で確認する習慣を。
ChatGPTは、「すごい」で終わらせると1ヶ月で使わなくなる。 定着のコツは、Custom InstructionsとProjectsに自分の仕事を一度セットし、「毎週同じ時間にやる業務」にChatGPTを挟むこと。月曜朝の週次レポート、金曜夕方の進捗共有、月末の集計——ここに組み込めば、自然と使う頻度が上がる。
次の一歩として、プロンプト設計の深掘りはAIプロンプトの作り方へ、具体業務での応用はAIで敬語メールを仕上げるやAIで市場調査を最速で回すが実務に直結する。Microsoft 365環境ならMicrosoft Copilotの使い方も並行で読むと選択肢が広がる。今日中にステップ1のCustom Instructionsを設定してほしい。以降のすべてのチャットの生産性が変わる。
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