Microsoft 365に組み込まれたCopilotを、日常業務で使い倒す。Word・Excel・Outlook・Teamsで使えるプロンプトを8本、無料版と有料版の選び方つきで解説。
Microsoft Copilot(マイクロソフト・コパイロット)は、Windowsに標準搭載され、Word・Excel・Outlook・Teamsなど日々使うMicrosoft 365アプリのなかで動くAIアシスタントだ。ChatGPTを別タブで開いてコピペする必要がない。すでに開いているファイルの中身を読んだうえで、下書きの作成、表データの要約、メールの整理、会議の議事録化までこなす。
このコースでは、Copilotの起動方法とプランの選び方から始めて、Word・Excel・Outlook・Teams・PowerPointそれぞれでコピペして使える業務プロンプトを8本掲載する。日本の会社員のAI利用率はOECDで最低水準と言われるが、裏を返せば、Copilotを使えるだけで周囲と差がつく。
ただし、Copilotも他の生成AIと同じく、もっともらしく間違えることがある。Copilotは下書きを数秒で作る装置であって、最終稿を仕上げる相手ではない。特に社外宛の文面、数字、固有名詞は必ず自分の目で確認すること。プロンプトの型そのものを鍛えたいなら、AIプロンプトの作り方コースを先に読んでおくと吸収が早い。
まずは業務で毎日触るアプリを1つ決めて、そこから試してほしい。OutlookでもExcelでもよい。下のプロンプトを1本コピペして、今日の仕事に当てはめるところから始まる。
Copilotの真価は、日々使うMicrosoft 365アプリの中で動くことにある。以下の8本は、Word・Excel・Outlook・Teams・PowerPointそれぞれで今日から使える業務プロンプトだ。プロンプトはChatGPTやClaudeにも流用できるよう、特殊なタグを使わず普通の日本語で書いた。
スクリーンショット:Wordリボン右上のCopilotアイコンと、右側に開くチャットパネル(日本語UI、1440×900推奨)
提案書、社内通達、研修資料——白紙から書き始めると30分は溶ける。Word内のCopilotに要点と読み手を伝えれば、構成済みの下書きが数秒で出る。 大事なのは、Copilotが「もっとも平均的な文章」を書く傾向があることだ。型どおりの骨格をもらったら、自社の具体例と固有名詞で差別化する。
使う場面:提案書・社内通達・研修資料など、フォーマルな文書の初稿を作りたいとき。
あなたは管理部門で働くドキュメント作成の専門家です。以下の条件で、Wordのドキュメント下書きを作成してください。 出力形式: - 見出し(H1)、章立て(H2×4〜6)、各章の本文(2〜4段落) - 各章の冒頭に結論を1文で書く(PREP法) - 必要な箇所に箇条書きを挿入 - 最後に「補足・確認事項」セクションを入れる 条件: - 文体は「です・ます」調で統一 - 社外秘の情報を推測で埋めない。不明点は【要確認】と明記 - 抽象語(「様々な」「革新的な」など)は使わない - 日付・金額・固有名詞が必要な場合はプレースホルダー(例:【YYYY/MM/DD】)で出力 --- 文書の種類:【例:新制度の社内通達 / 顧客向け提案書 / 新任マネージャー向け研修資料】 読み手:【例:全社員 / 製造業の情報システム部長 / 入社3年目のリーダー候補】 伝えたい要点(3〜5個): - 【要点1】 - 【要点2】 - 【要点3】 (記入例) 文書の種類:新制度の社内通達(リモートワーク運用ルール改定) 読み手:全社員(特に管理職とリモート勤務者) 伝えたい要点: - 2026年5月から週3日出社が原則 - 例外申請はマネージャー経由で人事へ - 既存のリモート手当は6月末で終了
Excelの表に数字を並べるのは得意でも、「結局何が言えるのか」を書き出すのは時間がかかる。 Copilotは、テーブル形式の表を自動で読み、トレンド、外れ値、セグメント間の差分を日本語で説明する。 ここで注意したいのは、データが「テーブル形式」(書式→テーブルとして書式設定)になっていないとCopilotが読めないことだ。
使う場面:月次の売上データ、顧客リスト、アンケート結果などから報告用の示唆を取り出したいとき。
あなたはデータアナリストです。このExcelテーブルを分析し、意思決定に使える示唆を抽出してください。 出力形式: 1. サマリー(3行で全体傾向) 2. 注目すべき数値(上位3つ):数値と、なぜ注目すべきかの理由 3. 外れ値・異常値(あれば3つまで):どのレコードが、どの指標で、どれくらい平均と違うか 4. セグメント間の比較(指定したカテゴリ別に平均/合計の差) 5. 次に取るべきアクション(3つ):誰が、何を、いつまでに 条件: - 元データにない推測値は出さない。不足なら「追加で必要なデータ」として列挙する - 「〜と考えられる」ではなく「〜である」「〜が示唆される」と断定的に書く - 金額の単位(円・千円・百万円)を必ず明記する --- 分析の目的:【例:営業会議の月次報告 / 解約要因の特定 / 来期予算策定】 注目したい切り口:【例:商品カテゴリ別、担当者別、地域別】 レポートの読み手:【例:営業部長 / 経営層 / 商品企画チーム】 ※ このプロンプトを使う前に、Excel側でデータが「テーブル形式」になっているか確認してください(ホーム→テーブルとして書式設定)。
スクリーンショット:Excelのテーブル範囲が選択された状態で右側にCopilotパネルが開き、売上データの分析結果が表示されている様子(日本語UI、1440×900推奨)
Outlookで一番時間を取るのは、メール本文を書くことではなく「どう返すか考える」部分だ。 Copilotに相手のメール全文と、自分が伝えたい要点だけ渡せば、敬語と構成を整えた返信ドラフトが数秒で出る。 返信の敬語を本気で仕上げたいなら、下書き完成後に敬語メールコースのプロンプトでもう一段磨くとよい。
使う場面:長文の問い合わせ、依頼、クレーム返信など、返事を考えるのに時間がかかるメールを受け取ったとき。
あなたは社外対応を担当するビジネスパーソンです。以下の受信メールに対する返信ドラフトを作成してください。 出力形式: - 件名(Re:付き、必要に応じて変更) - 本文:①挨拶、②お礼・クッション、③こちらの回答、④次のアクション、⑤締めの挨拶 - 必要な確認事項があれば箇条書きで本文に含める 条件: - 敬語は丁寧語・尊敬語・謙譲語を正しく使い分ける - 相手の温度感(不満・急ぎ・通常)に応じてトーンを調整する - 即答できない項目は「◯月◯日までにご回答いたします」と期日を明示する - 社外秘に触れる可能性がある内容は【社内確認のうえ回答】と明記する - 文章は300〜500字を目安にする --- 受信メール全文: 【ここにメールを貼り付け】 こちらが伝えたいこと: - 【要点1】 - 【要点2】 - 【要点3(期日や次のアクションを含める)】 相手との関係性:【例:初回取引の候補企業 / 継続取引の主担当 / 上司の上司】 (記入例) 受信メール全文:先日ご提案いただいた◯◯について、社内で検討した結果… こちらが伝えたいこと: - 提案内容にご興味をお持ちいただき感謝 - 追加の技術資料を来週中にお送り - 一度オンラインで30分打ち合わせを希望 相手との関係性:初回取引の候補企業(先方は情報システム部の課長)
月曜朝の受信箱に100通——全部読む前に、どれから処理すべきかをCopilotに仕分けさせる。 返信が必要なもの、情報共有で読むだけでよいもの、緊急対応、保留、削除候補。30秒で優先順位が見える。
使う場面:長期休暇明けや出張復帰で受信箱が溜まっているとき、処理順を決めたいとき。
あなたは受信箱を整理するアシスタントです。未読メールのリストを以下のカテゴリに分類し、対応優先度をつけてください。 出力形式:表形式(件名|送信者|カテゴリ|優先度|推奨アクション|目安所要時間) カテゴリ: - 【緊急対応】今日中に返信/対応が必要 - 【通常返信】今週中に返信すればよい - 【情報共有】読むだけ、返信不要 - 【保留】追加情報待ち、本人対応不要 - 【削除候補】メルマガ、広告、重複通知 優先度の判断基準: - 送信者の役職・関係性 - 件名・本文中の期日(「本日中」「至急」「来週」など) - 依頼・質問の有無 - CCではなくToで宛てられているか 条件: - 社内/社外、顧客/ベンダーを明確に区別する - 「要返信」と判定した理由を一言添える - 迷うものは【判断要】として別扱いにする --- 【ここに未読メールの件名・送信者・冒頭100字程度を貼り付け】
Teamsの会議を録画・文字起こししておけば、Copilotが後から議事録を作ってくれる。ただし「要約してください」だけでは使えるものにならない。決定事項、担当者、期日、次回までのアクションを明示的に要求する。 会議は発言者が曖昧になりがちで、責任の所在もぼやけやすい。プロンプトで「誰が」を必ず書かせるのが効く。
使う場面:会議終了直後、議事録を社内共有する必要があるとき。録画またはトランスクリプトが手元にあるとき。
あなたは議事録作成のプロです。以下の会議記録から、読み手が5分で全体像と自分のToDoを把握できる議事録を作成してください。 出力形式: 1. 会議サマリー(3〜5行) 2. 決定事項(箇条書き、誰が最終決裁したかを明記) 3. 議論のポイント(賛否が分かれた論点、3つまで) 4. アクションアイテム表:担当者|内容|期限|ステータス 5. 次回までの宿題と、その前提となる未解決事項 条件: - 発言者が不明な決定事項は「(要確認)」と明記する - 「検討する」「前向きに」など曖昧な合意は具体化する。無理なら【解釈に注意】と添える - 冒頭の雑談、接続確認、自己紹介は省く - 議事録の読み手は会議に不参加の部門長を想定し、用語は部内略語を展開する --- 会議名:【例:週次営業定例 / 新製品キックオフ】 出席者:【役職つきで列挙】 会議の目的:【1文で】 会議トランスクリプト: 【ここに貼り付け】
スクリーンショット:Teams会議画面でCopilotのサマリータブが開き、決定事項とアクションアイテムが一覧表示されている様子(日本語UI、1440×900推奨)
PowerPointのCopilotは、Wordドキュメントやメモからスライドの骨子を生成する。 ただし、いきなり本番の資料を生成させると、体裁は整っているが中身のない「それっぽいスライド」が量産される。 先に骨子と1行メッセージだけをテキストで出させ、中身を固めてから見た目を作るほうが手戻りが少ない。
使う場面:30分〜1時間の社内提案・報告・プレゼンの構成を、話す前に固めたいとき。
あなたは社内プレゼン構成の専門家です。以下の条件でPowerPointスライドの骨子を作成してください。 出力形式: 1. タイトルスライド案(3案):タイトル、サブタイトル、想定読後感を1行で 2. スライド構成表(章立て):スライド番号|スライドタイトル|1行メッセージ(結論)|根拠となる情報|ビジュアル候補(表/グラフ/図解/写真) 3. 冒頭3枚のナレーション原稿(話す言葉で、各150字以内) 4. Q&Aで聞かれそうな質問3つと想定回答 条件: - 1スライド1メッセージを徹底する - スライドタイトルは体言止めではなく「◯◯は△△である」の文で書く(結論が見えるため) - 抽象的な章(「概要」「まとめ」)は使わず、その回の具体的な論点で章を立てる - 根拠が不足している箇所は【要追加データ】と明記する --- プレゼンの目的:【例:新機能の予算承認 / 新規事業のピッチ / 年度振り返り】 想定する意思決定:【このプレゼン後に読み手に何をしてほしいか、1文で】 読み手:【例:経営会議(代表・本部長) / 部門長会議 / 全社集会】 持ち時間:【例:15分+Q&A5分】 伝えたい要点(3〜5個): - 【要点1】 - 【要点2】
Microsoft 365 Copilotの強みは、OneDriveやSharePoint上のファイルを横断して読めることだ。 同じテーマの資料が複数部署からバラバラに上がってきた時、一つずつ開いて読む時間はない。 Copilot Chatに指定すれば、ファイル群をまとめて読み、テーマごとに整理してくれる。
使う場面:プロジェクトの棚卸し、引き継ぎ、役員向け事前レクのために、散在する資料を一気に整理したいとき。
あなたはナレッジマネジメントの担当者です。以下のドキュメント群を横断して読み、テーマ別に整理した要約を作成してください。 出力形式: 1. 全体サマリー(5行で「誰が・何を・何のために作ったドキュメント群か」) 2. テーマ別の整理(3〜5テーマ): - テーマ名 - このテーマで言及されている内容(箇条書き、出典ファイル名を末尾に付記) - ドキュメント間の矛盾・食い違いがあれば明記 3. 情報の抜け(本来あるべきだが見当たらない情報) 4. 次に当たるべき人・部署(誰に聞けば残りの情報が埋まるか) 条件: - 出典は必ずファイル名で明示する。要約の本文内で「◯◯資料では〜、△△資料では〜」と区別 - 古い情報と新しい情報が混在している場合は、更新日を基準に新しい方を優先し、その旨を注記 - 推測で情報を補完しない。不足はそのまま「情報なし」と書く --- 対象ドキュメント:【OneDrive/SharePointのファイル名を列挙、または /(スラッシュ)でCopilotに参照させる】 要約の目的:【例:新任部長への引き継ぎ / 役員会前の事前レク / プロジェクト棚卸し】 読み手:【例:◯◯部長(入社予定者)】
現場で書いた週次報告を、そのまま経営層に出すと「で、結局何?」と返される。 忙しい経営層は、数字の羅列ではなく「何が起きて、何を決めてほしいのか」を3行で知りたい。 Copilotに現場レポートと読み手を伝えれば、経営層向けに圧縮して書き直してくれる。
使う場面:週次・月次の現場報告を、役員会や経営会議の資料に変換したいとき。
あなたは経営企画室のアナリストです。以下の現場レポートを経営層向けに再編集してください。 出力形式: 1. エグゼクティブサマリー(3行):今週の結論、経営が判断すべきこと、進捗状況 2. 主要指標(表形式):指標名|先週|今週|計画比|コメント 3. 決裁を仰ぎたい事項(最大3つ):内容、選択肢、推奨案、推奨理由 4. 現場からのリスク警告(2つまで):何が、いつまでに、どうなりそうか 5. 次週フォーカス(1行) 条件: - 文字数は全体で800字以内に圧縮する - 数字は単位を明記し、前週比・計画比の差分を必ず添える - 社内用語(部内略語、プロジェクトコード)はカッコ書きで初出時に正式名を併記 - 「順調」「問題なし」のような曖昧表現を避け、「計画比+3%」のように具体化する - 不確実性の高い予測値は【推定】と明記する --- 現場レポート全文: 【ここに貼り付け】 読み手:【例:代表・COO・事業本部長】 特に経営判断を仰ぎたい論点:【あれば記入、なければ「なし」】
Copilotの中身はChatGPT(OpenAIのGPTシリーズ)と同じ基盤モデルをベースにしている。「どっちを使えばいいのか」と聞かれることが多いが、答えはシンプルだ。社内文書やMicrosoft 365のデータを扱うならCopilot、それ以外の自由な調査や文章生成ならChatGPT。
Copilotの強みは、Word・Excel・Outlook・Teams内で動き、OneDriveやSharePointにあるファイルを横断して読めることだ。社外に情報を出さずに、すでに社内にあるドキュメントを下地に資料を作れる。一方ChatGPTは、Web検索・画像生成・コード実行・プラグインなど機能が広く、最新の情報を調べたり、Microsoft 365外のデータを扱う柔軟性がある。
現場の判断基準としては、「Word/Excel/OutlookでAlt+iが効く作業はCopilot、ブラウザで考え事をしたくなったらChatGPT」と覚えておけばよい。両方触って慣れれば、直感で使い分けられるようになる。
Copilotには3つの入り口がある。無料のCopilot(旧Bing Chat)、個人向けのCopilot Pro、そして法人向けのMicrosoft 365 Copilotだ。機能差が大きいので、何を使っているのかは意識しておいたほうがいい。
Copilot(無料)は、copilot.microsoft.comやWindows 11のタスクバーからアクセスできる。Web検索連携の質問応答、画像生成、音声会話までカバーするが、Word・Excelの中で動作はしない。個人利用の範囲なら十分だ。
Copilot Pro(個人向け有料)は、月額3,200円前後で、個人のMicrosoft 365(Personal/Family)ユーザーがWord・Excel・PowerPoint・OutlookのアプリからCopilotを呼べるようになるプラン。フリーランスや小規模事業者向けだ。
Microsoft 365 Copilot(法人向け)は、1ユーザーあたり月額約4,500円(年間契約)で、法人のMicrosoft 365 E3/E5などに追加する。Teamsの会議要約、SharePoint横断検索、メール下書きなど、仕事の現場で使う機能はほぼこちらに入っている。法人でCopilotを業務導入するなら、ほぼこれ一択になる。
Microsoft 365 Copilotは「個人で使ってみて便利だったから」という勢いで全社導入すると、情報管理の事故につながる。Copilotは、テナント内でアクセス権のあるすべてのファイルを参照する。つまり、SharePointやOneDriveの権限設定がずさんだと、本来見えてはいけない他部門の資料が要約に混ざる。
法人導入の前に、情報システム部と最低限これだけは合意しておきたい。①権限設定の棚卸し(全社共有になっているフォルダの見直し)、②Copilotの利用対象者を段階的に広げる計画、③機密情報(人事・財務・M&A)を扱うドキュメントへの Sensitivity Label の付与、④ログ監査の仕組み。
日本には「IT導入補助金」など、クラウドツール導入に使える助成金がいくつかある。単年で全社展開せず、研修とセットで段階導入するほうが、現場の抵抗も少なく、費用対効果も測りやすい。
ツールを入れただけで生産性は上がらない。Copilotを業務に定着させるには、週次の小さなルーティンが効く。月曜の朝にプロンプト④(受信箱トリアージ)、水曜に各会議終わりでプロンプト⑤(議事録化)、金曜の夕方にプロンプト⑧(週次レポート整形)。これだけで1週間の定着サイクルが回る。
出力の質は、プロンプトの質で決まる。同じプロンプトを3回使って違和感のあった部分を、自分の業務に合わせて書き換えていくのが一番近道だ。プロンプトの型をもっと深く鍛えたいならAIプロンプトの作り方コース、データ分析の幅を広げたいならAIで市場調査コースへ続けて読み進めてほしい。
まずはOutlookで1通、返信ドラフトを作るところから始めてほしい。5分で効果が出る。
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