AIが「それっぽい答え」を返すか「使える答え」を返すかは、プロンプト次第。コピペで使える7つの型と、日本語ビジネス現場のための指示テクニックを一気に学ぶ。
AIを業務で使っていて「思ったのと違う答えが返ってくる」と感じたことはないだろうか。 多くの場合、問題はAIの性能ではなくプロンプト(指示)の書き方にある。 同じモデル、同じ質問でも、指示の出し方ひとつで出力の質は劇的に変わる。
プロンプトの書き方には、再現性のある「型」がある。ランダムなひらめきや才能ではなく、構造を理解して組み合わせる作業だ。 このコースでは、業務でよく使う7つの型を、それぞれコピペで使えるテンプレートと一緒に解説する。 メール作成、議事録まとめ、資料下書き、競合比較、レポート作成——どんな業務でも、この7つの型を組み合わせれば8割のタスクはカバーできる。
扱うツールはChatGPT、Claude、Microsoft Copilot、Gemini、Notion AIなどを想定している。プロンプトの書き方の原則は、どのツールでも共通だ。 業務で使う場面を前提にしているので、敬語の指定、社内文書のトーン、固有名詞の扱いなど、現場で効くポイントも押さえている。
最初の一通目から完璧なプロンプトを書こうとしなくていい。 良いプロンプトは「書く」のではなく「育てる」。 まずは下の型をコピーして、自分の業務に合わせて1箇所だけ変えて試してほしい。
すべてのプロンプトの土台になる型だ。「誰として」「何を」「どんな形式で」の3点を指定するだけで、出力の精度は体感で2〜3倍変わる。 AIは何も指定しないと平均的な回答を返す。役割を与えると、その専門家のトーンで答えるようになる。 最初はこの型を丸暗記してほしい。迷ったらこの型に戻れば、だいたい何とかなる。
使う場面:何から書き始めたらいいか迷ったとき。まずはこの型に当てはめてみる。
あなたは【役割】です。 以下の情報をもとに、【タスク】してください。 出力形式: - 【形式1】 - 【形式2】 - 【形式3】 条件: - 【守ってほしい条件1】 - 【守ってほしい条件2】 --- 【ここに材料・前提情報を入力】 (記入例) あなたはBtoB SaaS企業のマーケティング担当者です。 以下の製品情報をもとに、見込み顧客向けのLP用キャッチコピーを5案作ってください。 出力形式: - 各案は20字以内 - 「ベネフィット型」「問いかけ型」「数字型」の3タイプを混ぜる - 案ごとに「誰に響くか」を1行添える 条件: - 専門用語は使いすぎない - 「革新的」「最先端」などの抽象語は避ける
AIの出力が「もっともらしいけど自社には合わない」と感じるとき、たいてい原因は文脈不足だ。 業界、会社の立ち位置、対象読者、これまでの経緯——AIは文脈を知らないまま回答している。 文脈を300字程度でいいから前置きとして渡すだけで、出力は「汎用的な答え」から「自分たちの状況に合った答え」に変わる。
使う場面:業界・組織・読者など、背景情報を踏まえた提案や文章がほしいとき。
まず背景を共有します。この情報を踏まえてから、次の指示に答えてください。 【背景】 - 業界:【業界名と規模感】 - 自社の立ち位置:【ポジション、強み、弱み】 - 対象読者・顧客:【属性、役職、関心事】 - これまでの経緯:【直近の動き、課題、制約】 - トーン:【フォーマル / カジュアル / 専門的 など】 【依頼】 上記の背景を前提に、以下のタスクを実行してください。 【タスク】 【やってほしいこと】 出力形式: 【どう出してほしいか】
「こういう感じで」と言葉で説明するより、良い例を1〜3つ見せるほうが圧倒的に早い。 プロンプト研究ではこれを「Few-shot(数ショット)」と呼ぶ。 自社の過去のメール、ブログ、資料の中から「これは良かった」というサンプルを1つ渡すだけで、AIはそのトーンを真似して出力してくれる。 マーケティングコピー、社内メモ、提案書のような「自社らしさ」が大事な場面で特に効く。
使う場面:自社の書き方・トーンを保ったまま量産したいとき。
以下は、自社らしい文章の良い例です。このトーン・構成・言い回しを学んで、新しい素材で同じスタイルの文章を作ってください。 【良い例1】 (自社の過去の投稿・メール・資料の良かった例を貼り付け) 【良い例2】 (2つ目の例。できれば違うテーマ・違う長さのもの) 【良い例3】(任意) (3つ目。多様性を出すため) --- 【新しい素材】 テーマ:【何について書くか】 盛り込みたいポイント: - 【ポイント1】 - 【ポイント2】 - 【ポイント3】 上記3つの例と同じトーン・構成で、この素材から文章を作ってください。
複雑なタスクを一発で頼むと、AIは途中をすっ飛ばした雑な答えを返すことが多い。 「まず◯◯を整理して、次に△△を検討して、最後に□□を決めて」とステップを明示すると、AIは思考の過程をたどる。 これはChain-of-Thought(思考の連鎖)と呼ばれる手法で、分析・比較・意思決定のタスクで特に効果が大きい。
使う場面:分析、企画、意思決定など、結論だけでなく思考過程も見たいとき。
以下のタスクを、ステップごとに順番に考えてください。各ステップの結論を明示してから次に進んでください。 【タスクの全体】 【最終的にゴールとしたいこと】 【ステップ】 ステップ1:【最初に整理すべきこと】 ステップ2:【次に検討すべきこと】 ステップ3:【その次に判断すべきこと】 ステップ4:【最後にまとめるべきこと】 【入力情報】 (ここに材料を貼り付け) 各ステップで、以下の形式で出力してください: - ステップの目的(1行) - 検討した内容(3〜5行) - このステップの結論(1〜2行) - 次のステップに引き渡す前提(1行) 最後に、全ステップを踏まえた最終的な結論を5行以内でまとめてください。
「丁寧に」とだけ指示すると、AIは過剰にへりくだったり、逆に機械的な敬語を返してくることがある。 日本語のビジネスシーンでは、フォーマル度、距離感、温度感を言語化して渡すのがコツだ。 「取引先の役員宛」「社内のフラットな同僚宛」「初対面の顧客宛」——こうした具体的な宛先と関係性を明示するだけで、敬語のチューニングが段違いに良くなる。
使う場面:メール、社内文書、顧客向け文章で、適切なフォーマル度を保ちたいとき。
以下の下書きを、指定したトーンのビジネス文書に整えてください。 【宛先・関係性】 - 宛先:【例:取引先の部長 / 社内の同僚 / 初回商談の顧客】 - 関係性:【例:初対面 / 3回目のやりとり / 長年の付き合い】 - 温度感:【例:フォーマル寄り / ややカジュアル / 温かみを残したフォーマル】 【守ってほしい日本語のルール】 - 二重敬語は避ける(「お伺いさせていただく」など) - 過度なへりくだり(「大変恐縮ですが」の連発)は避ける - 相手の動作には尊敬語、自分の動作には謙譲語を使う - 主語・目的語を省略しすぎない(読み手が迷わない程度に残す) - 【業界・会社固有の言い回しがあれば記入】 【下書き】 --- (ここに話し言葉・箇条書き・メモなどの下書きを貼り付け)
選択肢を並べて「どれがいい?」と聞くのは、意思決定でAIを使う最も実用的な場面だ。 ただし「比較して」とだけ頼むと、箇条書きの表面的なまとめになりがち。 評価軸・重みづけ・前提条件を指定すると、AIは構造化された比較表と具体的な推奨を返してくる。 会議前の論点整理、ツール選定、案の絞り込みなどに効く。
使う場面:ツール比較、案の絞り込み、意思決定の論点整理をしたいとき。
以下の選択肢を、指定した評価軸で比較してください。 【選択肢】 - 選択肢A:【概要と主な特徴】 - 選択肢B:【概要と主な特徴】 - 選択肢C:【概要と主な特徴】 【評価軸と重みづけ】 - 軸1:【評価軸名】(重要度:高/中/低) - 軸2:【評価軸名】(重要度:高/中/低) - 軸3:【評価軸名】(重要度:高/中/低) - 軸4:【評価軸名】(重要度:高/中/低) 【前提条件】 - 予算の上限:【金額 or 制約なし】 - 使う人の特徴:【人数、スキル感、関わる部署】 - その他の制約:【既存システムとの連携、期限など】 出力形式: 1. 各選択肢を評価軸ごとに◎/○/△/×で評価した比較表 2. それぞれの選択肢の「向いているケース」を2〜3行で 3. 上記前提条件を踏まえた推奨選択肢(1つ選び、理由を3つ) 4. もし前提条件が変われば結論が変わるポイント(1〜2つ)
最初のプロンプトで完璧な出力が返ってくることは、ほぼない。 大事なのは、返ってきた出力に対して具体的にどこをどう直してほしいかを言葉にして伝えることだ。 「違う」「もう一回」だけではAIは何を直せばいいかわからない。 リファインのプロンプトを1〜2回挟むだけで、出力は実用レベルに仕上がる。この型は他の型と組み合わせて使うのが前提だ。
使う場面:AIの出力をもう一歩自分の意図に近づけたいとき。
直前の出力を、以下の観点で修正してください。 【残してほしい部分】 - 【元の出力の良かった箇所を指定。例:全体の構成、〇〇の段落、冒頭の一文】 【変えてほしい部分】 - トーン:【例:もっとカジュアルに/もっとフォーマルに/温かみを足す】 - 長さ:【例:半分に圧縮/2倍に拡張/同じ長さのまま中身だけ変える】 - 具体度:【例:抽象的すぎるので具体例を追加/具体例が多すぎるので整理】 - その他:【例:専門用語を置き換える/数字を入れる/比喩を減らす】 【足してほしい要素】 - 【追加したい論点、前提、視点】 【削ってほしい要素】 - 【不要な箇所、冗長な表現、テーマから外れた話】 修正後の出力だけを返してください。差分の説明は不要です。
7つの型を覚えても、最初の数回は期待通りの出力にならないことがある。それは失敗ではなく、プロンプトを育てる過程だ。 良いプロンプトは一度書いて終わりではない。うまくいったプロンプトは保存し、次回は少しだけ変えて試す。これを繰り返すと、自分と自社の業務に最適化された「自作プロンプト集」が数週間で手元に貯まる。
おすすめは、Notion・Google Docs・社内Wikiのいずれかに「プロンプト置き場」を作り、業務カテゴリ別に溜めていくことだ。 「敬語メール用」「議事録まとめ用」「企画書下書き用」といったフォルダを切り、うまくいったプロンプトをコピペしておくだけでいい。 半年後、そのプロンプト集が、あなたとチームの競争力になる。
プロンプトの上達に才能はいらない。ただ、試して、直して、また試すだけだ。 まずは型1をコピーして、今日取り組んでいる業務に当てはめてみてほしい。
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